カフェ・サウェリガディン https://www.cafesawerigading.com Entak Kusuda Tue, 19 Dec 2023 16:48:07 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.0.7 他人と一緒に住むという事 https://www.cafesawerigading.com/living-with-others/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=living-with-others&utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=living-with-others https://www.cafesawerigading.com/living-with-others/#respond Wed, 13 Dec 2023 22:29:43 +0000 https://www.cafesawerigading.com/?p=2959 八木橋努さんと出会ったのは、彼の主催するワークショップに参加したのがきっかけだ。 7年半前、2016年春のことである。最中に熊本地震が起こったのでよく覚えている。 なぜワークショップかというと、当時私はワークショップデザ […]

The post 他人と一緒に住むという事 first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
八木橋努さんと出会ったのは、彼の主催するワークショップに参加したのがきっかけだ。
7年半前、2016年春のことである。最中に熊本地震が起こったのでよく覚えている。

なぜワークショップかというと、当時私はワークショップデザインを学んでいたのである。
なぜ彼のワークショップかというと、当時私の行きつけだったどん底という新宿三丁目の飲み屋に案内の貼り紙がしてあったからだ。
ワークショップデザインを学んでいた身としては、こりゃ奇遇、面白そうじゃん、という軽いノリで参加を決めたのである。

なぜ飲み屋にそんな貼り紙がされていたかというと、後で知ったのだが、当時彼がそのどん底で働いていたからなのだ。だから、知遇を得たのはこのワークショップでだけど、実はもっと前に店員と客として会ったことはあったかもしれない。

即興的な対話劇を駆使したワークショップだったが、その実彼は実際に芝居を書き、演出を行うプロの劇作家でもあった。その頃すでに三本ほどの作品を執筆し、そして上演していた。
コロナ禍で一時中断を余儀なくされたものの、今も一年に一本のペースで作品を制作、上演している。

彼のメソッドはとても刺激的だ。
私が演劇でどちらかというと苦手なやたら大袈裟な身振り手振りとか、わざとらしさとかは一切出てこない。平田オリザ氏とはまたアプローチは異なるのだけど、独自のやり方でリアルとかどうしようもない人間の性とかを追求しているのである。

ワークショップの中で、設定と役柄だけ与えられて、即興でその場その瞬間にぽっと出てきた台詞や表情が、どんな脚本家が考えに考えても書けないリアルな言葉だったりして目から鱗。
おれってそんなこと感じてたんだ、いや、たとえそう思ってなかったとしてもこんな言葉が口から出ちゃったんだ、みたいな。事後的に気づいちゃうというか。
そしてそんな何気ない言葉たちを彼は貪欲にネタに取り込み、一つの作品を作り上げていく。なるほどその手があったか(笑)

そうこうするうちに、彼は長らく勤めたどん底を辞し、そこから至近のゴールデン街のバーのマスターになった。当時新宿に職場があった私にとって有り難いことであった。

前後して彼は仲間たちと映画を撮り始めた。
2020年の正月に試写会があっていよいよ公開かと思ったらそうはならなかった。
(お招きいただいたのだが、ちょうど大学時代の仲間との新年会で痛飲後に駆け付けたので内容よく覚えていない)

そこからさらに4年。撮影開始から実に7年の時を経て日本での公開に漕ぎ着けた。この執念、見習いたい。

で、昨日イメージフォーラムにてようやく視聴。
私も飲み屋のマスターとして一瞬映り込んでいるのはご愛嬌である。

うだうだした冴えないやり取りの中についつい自分を見てしまういたたまれなさ、人間の愚かしさに垣間見る可笑しみみないなものが何とも言えない。八木橋さん独自の世界だと思う。

The post 他人と一緒に住むという事 first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
https://www.cafesawerigading.com/living-with-others/feed/ 0
Que rápido pasa el tiempo https://www.cafesawerigading.com/que-rapido-pasa-el-tiempo/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=que-rapido-pasa-el-tiempo&utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=que-rapido-pasa-el-tiempo https://www.cafesawerigading.com/que-rapido-pasa-el-tiempo/#respond Sat, 09 Dec 2023 23:48:33 +0000 https://www.cafesawerigading.com/?p=2971 久々にアルゼンチンへ行ってきた。 南米大陸自体、2015年7月にブラジルを発って以来である。 この8年はあっという間だけど、移動の30時間はやたら長い(笑) あまり自由な時間はなかったし、滞在したのもブエノスアイレスのみ […]

The post Que rápido pasa el tiempo first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
久々にアルゼンチンへ行ってきた。
南米大陸自体、2015年7月にブラジルを発って以来である。
この8年はあっという間だけど、移動の30時間はやたら長い(笑)

あまり自由な時間はなかったし、滞在したのもブエノスアイレスのみではあったけど、タンゴもアサードもスペイン語も懐かし過ぎてご機嫌ご機嫌。





15年前、前職時代に「アルゼンチン日本人移民史」の刊行プロジェクトでご一緒した米須清文さんも変わらずご健在であった。何よりである。

The post Que rápido pasa el tiempo first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
https://www.cafesawerigading.com/que-rapido-pasa-el-tiempo/feed/ 0
仮面 ー隠されたもの、顕れたもの 第1回 https://www.cafesawerigading.com/geidai-project-2023-1/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=geidai-project-2023-1&utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=geidai-project-2023-1 https://www.cafesawerigading.com/geidai-project-2023-1/#respond Tue, 10 Oct 2023 15:54:13 +0000 https://www.cafesawerigading.com/?p=2946 舞い、謡う。仮面のアジア  毎年特定のテーマを設け、藝大ならではの多角的視点からアプローチを試みる意欲的な企画「藝大プロジェクト」。今年のテーマはずばり「仮面」です。2回シリーズのうち第1回にあたる今回は、アジア各国から […]

The post 仮面 ー隠されたもの、顕れたもの 第1回 first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
舞い、謡う。仮面のアジア
 毎年特定のテーマを設け、藝大ならではの多角的視点からアプローチを試みる意欲的な企画「藝大プロジェクト」。今年のテーマはずばり「仮面」です。2回シリーズのうち第1回にあたる今回は、アジア各国から選りすぐられた三つの仮面芸能を、ミニレクチャーとともにお楽しみいただきます。
 古今東西、その土地における宗教や祭祀の儀礼で使用されるのみならず、美術や演劇、音楽といった芸術の諸分野においても、それをモチーフとした魅力的な作品が多く作られてきました。「顔を覆う」という一見不自由極まりない制約から、人は想像力を駆使し、豊穣な世界を生み出してきたのです。
 新型コロナウィルスによって、あらゆる活動に制約が課されたこの数年。鬱屈した思いを、その象徴的存在であるマスク(=仮面)に託して、いざアジアの深淵へ!

The post 仮面 ー隠されたもの、顕れたもの 第1回 first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
https://www.cafesawerigading.com/geidai-project-2023-1/feed/ 0
言語の本質 https://www.cafesawerigading.com/gengo-no-honshitsu/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=gengo-no-honshitsu&utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=gengo-no-honshitsu https://www.cafesawerigading.com/gengo-no-honshitsu/#respond Sat, 23 Sep 2023 23:39:52 +0000 https://www.cafesawerigading.com/?p=2885 『言語の本質 -ことばはどう生まれ、進化したか』(今井むつみ、秋田喜美) 非常にスリリングな本だった。 一般に言語学では周縁の分野と認識されている、それでいて二人の著者がこの上なく偏愛する「オノマトペ」を切り口に、言語に […]

The post 言語の本質 first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
『言語の本質 -ことばはどう生まれ、進化したか』(今井むつみ、秋田喜美)

非常にスリリングな本だった。
一般に言語学では周縁の分野と認識されている、それでいて二人の著者がこの上なく偏愛する「オノマトペ」を切り口に、言語に迫る。

なかでも、オノマトペが身体性とリンクしているがゆえに、子供が言語を習得するにあたっての取っ掛かりとなり、かつ言語という広大な抽象概念とを架橋する存在でもある(大意)、という洞察は、私自身が幼い子供たちを目の前にして、日々体験する現在進行形の実感と相俟って目から鱗だ。
そしてそれは、ソシュール以来の言語の恣意性という大原則をも覆すものなのであった。

ここでも「ゆる言語学ラジオ」大活躍(笑)
紹介されている【赤ちゃんミステイクアワード】はどれも本当に興味深い。
言語学者にとってこれほど気軽にアクセスできる宝の山もなかろう。集合知の賜物やなあ。

で、たまたま図書館から借りて同時に読んでた本でも似たようなことが書かれてて驚いた。

『動物たちは何をしゃべっているのか』(山極寿一、鈴木俊貴)

ご存知ゴリラ研究の山極寿一先生と、シジュウカラ研究の鈴木俊貴さんという若き研究者の対談本だ。
お二人の専門は動物のコミュニケーションなのだが、そこから通して見える人間のコミュニケーション、そして言語への考察へ話は進む。図らずも先の「言語の本質」と問題意識は共通しているのであった。

山極先生の言うところのインファント・ダイレクテッド・スピーチ(大人から赤ちゃんへの話しかけ)なんて、人間からペット(動物)への言葉そのものだし、まさに身体と結びついたオノマトペ的な語法と共通するよね。
そして山極先生の関心は、音楽や踊りといった、より身体的、根源的なコミュニケーションへと展開する。さすがや。

言葉はたくさんあるコミュニケーション手段の一つに過ぎなかった。ところが、現代社会ではその地位が極端に高くなってしまっている。(P.167)

これは、敬愛する西江雅之先生が手を変え品を変え、何十年も前から主張されてたことでもあるな。慧眼!

The post 言語の本質 first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
https://www.cafesawerigading.com/gengo-no-honshitsu/feed/ 0
小川さやかは知っている https://www.cafesawerigading.com/ogawa-sayaka/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=ogawa-sayaka&utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=ogawa-sayaka https://www.cafesawerigading.com/ogawa-sayaka/#respond Fri, 07 Jul 2023 23:17:13 +0000 https://www.cafesawerigading.com/?p=2863 奉職している大学では、主たる業務以外にも、全学にまつわる委員会やらワーキンググループやら、さまざまな役割が回ってくる。 このクソ忙しいときに、と思わないでもないが、余程のことがない限り引き受けるようにしている。 今いる大 […]

The post 小川さやかは知っている first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
奉職している大学では、主たる業務以外にも、全学にまつわる委員会やらワーキンググループやら、さまざまな役割が回ってくる。
このクソ忙しいときに、と思わないでもないが、余程のことがない限り引き受けるようにしている。
今いる大学で自分のようなバックグラウンドを持つ人間は少数派なので、多様性を担保する意味で、それはそれでお役に立てる部分もあるだろうと僭越ながら自負しちゃっているのだ。

委員を拝命している会議の一つに教養教育センター会議なるものがある。良くも悪くも専門知に特化しがちな本学学生に対して、幅広い教養教育の機会を提供しようということで、そこの開設授業でどういうことやろうとか、どんな人に外部から講師に来てもらおうとか、他科から集められた先生方と議論しているわけだ。

で、今年度このセンターに新設されたのが「先端知を識る」なる授業。前期のみの開講で、外部から計四人の講師が1ヵ月(4回)ずつ担当するオムニバスの講座だ。
結果的に四人のうち二人が、私が推薦、というか紹介した人に来ていただくことになった。

一人は神崎亮平先生である。

神崎先生には2年前、縁あって私の担当している授業に出てもらった。
でもそのときはコロナ禍真っ只中でオンラインでの開催だったので、実際にお会いしたことはなかった。
これまでのブリリアントな研究業績はもちろんながら、何というか、画面越しにも伝わるスコーンと突き抜けた明るさみたいなのがあって、今回ゲスト講師の推薦を依頼されたとき、真っ先に神崎先生のことが頭に浮かんだのだった。

そしてもう一人が、大学院の同窓であり、このマニアックな研究科の出身者の中で(中島岳志さんや川瀬慈と並ぶ)出世頭である小川さやかだ。

この講座の講師をオファーした際、本人から快諾もらった後の細々したやり取りは、まさかの秘書さん経由。
うちの大学で個人秘書がいるのなんて、せいぜい学長くらいじゃないか。
早々に見せつけられたこの彼我の差よ(笑)

さもありなん。
この人の言うこと書くもの、ことごとく面白いのよね。

都市を生きぬくための狡知―タンザニアの零細商人マチンガの民族誌―

ウジャンジャである。狡知、とはなかなか秀逸な訳語ではないか。
フットボーラーの立場で言わせてもらうと、ブラジルで言うところのマリーシアやな。
十年以上前(2011年)、デビュー作にて早々にサントリー学芸賞受賞。
お呼ばれして授賞式も行った記憶ある。そりゃあ選ばれるわ。

そして。

「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済

チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学

「その日暮らし」とはまた絶妙なキーワードを出してきたものだ。
今の日本で「その日暮らし」なんて、一般的にはネガティブな文脈で語られることが多いだろう。

その対極で、今私たちは例えば「老後のためにお金貯めよう」とか「将来のために今は(我慢して)●●しなければ」とか、そんな考えが、もはや疑う余地もないくらいに自明のものとして染みついてる。
が、彼女の描き出す「その日暮らし」はそんな凝り固まった価値観を軽やかに飛び越える。
そんな窮屈な強迫観念は、たまたまこの時代、この地域に蔓延した特異な奇習であって、普遍的なものでも何でもないことを鮮やかに活写する。

それを押しつけがましくなく、フィールドでのタンザニア人との絡みからサラッと浮かび上がらせるその手腕がサイコーなのだ。

小川さやかの類いまれな才能はもちろんのこと、
その能力を存分に発揮させられるだけの人類学の学問としての度量もまだまだ捨てたもんちゃうやん、とエラそうながら思っちゃう。

惜しむらくは、このオムニバス講座(水曜4限)が自分の担当授業とモロ被りのため、結局一度も聴講できなかったことだ。
どの学生よりも私が一番聞きたかった講座なのに。残念すぎる!!
せめて資料だけでも貰うことにしよう。

The post 小川さやかは知っている first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
https://www.cafesawerigading.com/ogawa-sayaka/feed/ 0
On Writing https://www.cafesawerigading.com/on-writing/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=on-writing&utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=on-writing https://www.cafesawerigading.com/on-writing/#respond Tue, 30 May 2023 23:12:28 +0000 https://www.cafesawerigading.com/?p=2856 昔は山ほど書いていた。 小学生の頃から文章だけは褒められた。 毎度当たり前のように賞をいただいていたのである。 中学生になって一人暮らし始めてからは、書いても書いても書き足りなかった。 日々の出来事に感情が追い付かなかっ […]

The post On Writing first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
昔は山ほど書いていた。
小学生の頃から文章だけは褒められた。
毎度当たり前のように賞をいただいていたのである。

中学生になって一人暮らし始めてからは、書いても書いても書き足りなかった。
日々の出来事に感情が追い付かなかったのである。
今でも覚えているのは高校生の夏休み、止まらなくなって1日で大学ノート1冊書きつぶしたことだ。
とにかく書かずにはいられないことが溢れ出していたのだ。
この感性が今も続いていれば、すでに芥川賞どころかノーベル文学賞を取っていたであろう(笑)

大学に進学しても、書くことへの飢餓感は続いてた気がする。
そもそも大学の選択も、おれは書ける人間だから、ということで文学部一択だったのである。
実家を漁れば、百冊は優に超えるノートが埋もれているはずだ。

大学院に入っても、フィールドノートという形で、どうでもいいこと含め、逐一書きつけてたと思う。
その頃は異国の地でそれなりに貴重な経験をしている自覚があって、それを残しておかなければ、と思ってた気がする。
それ以前はもっと純粋に、とにかく書いておかなければ、というやむにやまれぬ感情があった気もする。

気づけば今は何だ。
文章は毎日それなりに書いている。
が、メール対応、チラシ、企画書、ご挨拶等々。フォーマットの決まったものだ。

いつからなのか。
ブラジルから帰国してからか。
家族を持ってからか。
子供が生まれたからか。
大学に転職したからか。
書くまでもなく楽勝で現実に対応できちゃうほど、歳を取ったということか。

先日、敬愛する某氏から論文書け、と言われた。
さておれは何を書けばいいんだっけ、としばし呆然としてしまった。
で、焦燥にも似たもどかしい思いを抱えている。

ここ数年、書くことについてあまりに無頓着でありすぎた。
こりゃあきまへん。
これから日々原稿書きに勤しむことになるであろう。

The post On Writing first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
https://www.cafesawerigading.com/on-writing/feed/ 0
オール・ベートーヴェン https://www.cafesawerigading.com/all-beethoven/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=all-beethoven&utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=all-beethoven https://www.cafesawerigading.com/all-beethoven/#respond Thu, 20 Apr 2023 23:12:34 +0000 https://www.cafesawerigading.com/?p=2849 行ってきた。とっても良かった。 藝大フィル定期演奏会は4/20(木)19時より奏楽堂で。今回は指揮者を置かない形での「オール・ベートーヴェン・プログラム」。公演詳細、チケット情報はこちらから。当日券の販売はございませんの […]

The post オール・ベートーヴェン first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
行ってきた。とっても良かった。

指揮者なしでこれができるなら、指揮者の存在って一体何よ、と考えさせられる。

指揮者をおかないオーケストラで指摘したいのは、リーダーが不在になるのではなく、リーダーの権限が分散され、状況に応じてむしろリーダーが増える、という点にあります。それまで指揮者が決めていたこと、例えば音を出すタイミングや音量のバランス、音楽的なアイデアをその時々の重要なパートの奏者達が自分で決断して行く、あるいはそこに至るまでの議論を重ねて行くことになるでしょう。(中略)オーケストラの民主主義が、生き生きとした自発的なアンサンブルをもたらすのか、どちらつかずの停滞をもたらすのか…
(北川森央さんのプログラムノートより)

奥が深い。
その意味で言うと、このチャレンジングな試みは成功したと言えるのではないだろうか。

もう一つ改めて認識するのが、このコロナ下、そしてAIを巡る議論の中でも散々言われてることだけど、オンラインやデジタルに対するライブの圧倒的な体感だ。
特にベートーヴェンなんて、過去の名演といわれる映像がいくらでもネット上に漂っててタダでお手軽に視聴できる。かたやホールだと寝転がって聴けない、隣のおっさんに気使う、つまみ食いできない、ずっと座ってたら腰痛い……そんなデメリットたちも補って余りある悦楽的な時間と空間がそこにはある。

世に疎いままボケっとしてたらまた一周回って、期せずして肥沃で広大なフィールドがどかんと目の前に顕れた感じだ。
そう、身体さえそこにあれば何だってできるのだ。

The post オール・ベートーヴェン first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
https://www.cafesawerigading.com/all-beethoven/feed/ 0
Camino, 2019 https://www.cafesawerigading.com/camino-2019/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=camino-2019&utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=camino-2019 https://www.cafesawerigading.com/camino-2019/#respond Sat, 18 Feb 2023 18:09:26 +0000 https://www.cafesawerigading.com/?p=2594 2019年2月、サンティアゴ巡礼。 ただ食って飲んで歩いてをひたすら三十数回繰り返せばよかった日々がとてつもなく懐かしく感じる。 冒険、というほどのスリルは皆無。 熱心な信徒には怒られるけど、巡礼路であると同時に、これ以 […]

The post Camino, 2019 first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
2019年2月、サンティアゴ巡礼
ただ食って飲んで歩いてをひたすら三十数回繰り返せばよかった日々がとてつもなく懐かしく感じる。

冒険、というほどのスリルは皆無。
熱心な信徒には怒られるけど、巡礼路であると同時に、これ以上のエンタメ体験が他にあろうか。

この4年、世界も、身の回りも、想像もできないほどに大きく変わった。

次にこの贅沢極まりない時間と空間を味わえるのはいつになるだろうか。

The post Camino, 2019 first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
https://www.cafesawerigading.com/camino-2019/feed/ 0
一徹よお願いだから永遠に https://www.cafesawerigading.com/ittetsu-forever/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=ittetsu-forever&utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=ittetsu-forever https://www.cafesawerigading.com/ittetsu-forever/#respond Tue, 27 Dec 2022 11:29:18 +0000 https://www.cafesawerigading.com/?p=2555 12月12日。年の瀬に今年最大の激震が私を襲った。 私がこよなく愛するラーメン屋「がんこ一徹」が来年1月で閉店すると言うではないか! いつもご利用頂きまして、誠にありがとうございます。都市開発に伴う移転の先を探していたの […]

The post 一徹よお願いだから永遠に first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
12月12日。年の瀬に今年最大の激震が私を襲った。
私がこよなく愛するラーメン屋「がんこ一徹」が来年1月で閉店すると言うではないか!

信じられない。

新井薬師に住んでた大学時代、この店のオープンから通い出してはや四半世紀。
ラーメンを愛する私の、その中でも不動の一番の味であり続けたこの店がなくなってしまうなんて。
とてつもない喪失感に囚われている。

一日に同じラーメンを昼と夜の二度食いに行ったことがあるのは、いかにラーメン好きの私と言えどこの店だけである(笑)
10年以上前からすでに10年以上偏愛し続けていることを熱弁している)

ジロリアンでもある私は今も週に1度の二郎詣で(インスパイア系含む)を欠かさない。
そういえば昨日半日ドック帰りに食った豚麺(@飯田橋大勝軒では、直前に飲んだバリウムと相俟ってしばらくお腹が妙な具合であった。

他にも好きなラーメンは山ほどある。
家近の名店としおかしかり、三ん寅しかり
今年はサーモンnoodle3.0なるユニークな店も近くにできた。

それでも一徹の地位が揺らぐことはない。常にここに戻って来てしまう。
今や他のラーメンを食すときの物差し的な存在であり、まさに我が偏愛する至高の一杯なのである。

大学を卒業して東京を離れたときも。
長期海外にいたときも。
この一杯が私の大きな支えなのであった。

何が好き、と聞かれたら、焼肉とか寿司とか普通名詞で答えられるもの以外で、
あくまで固有名詞に限るのであれば、私がこの世で最も偏愛する食べ物は、
がんこ一徹のチャーシュー麺と、あるでん亭ファンタジア、この2品を置いて他にない。
もはや私のアイデンティティの一部を形成している。

店主のお兄さん、開店当時はまだ20代と思しき青年であったが、今やコック帽から垣間見える髪には白髪も目立つ。三児の父でもある。
しかしその溌剌とした風貌と愛想の良さは常に変わらない。

この店の近くに、これまた学生時代から通ってる歯医者さんがあって、3ヵ月に一回歯のクリーニングをしてもらってるのだけど、その帰りにがんこ一徹に寄るのがもう何年もルーティンになってる。
というか、定期的にがんこ一徹に通うために、家から近いわけでもない歯医者に予約を入れ続けているというのが正確なところだ。

次の歯医者は2月なので、それではもう間に合わない。
先週、中野でのタイトな用事にかこつけて大慌てで駆け込んだ。相変わらず美味し。

駅前の開発に伴う立ち退きとのことで、話は結構前からあったのだろう。
が、閉店後のことは全く未定、再開するかどうかも分からないとのこと。

そんなこと言わないで。
いつまでも待っている。


ホリさん、今こそ立ち上がってくれ(笑)

The post 一徹よお願いだから永遠に first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
https://www.cafesawerigading.com/ittetsu-forever/feed/ 0
退屈なかもめたち https://www.cafesawerigading.com/kamome/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=kamome&utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=kamome https://www.cafesawerigading.com/kamome/#respond Tue, 15 Nov 2022 23:38:28 +0000 https://www.cafesawerigading.com/?p=2546 かつての芝居もどき仲間であり、かつてのフットサル仲間であり、今もたまの呑み仲間(ゴールデン街の行きつけの店が同じで、行くと大抵いるのだ)でもあるスズキさんの長編映画初監督作。 直接お声がけいただいたのでこれは行かねばとも […]

The post 退屈なかもめたち first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
かつての芝居もどき仲間であり、かつてのフットサル仲間であり、今もたまの呑み仲間(ゴールデン街の行きつけの店が同じで、行くと大抵いるのだ)でもあるスズキさんの長編映画初監督作

直接お声がけいただいたのでこれは行かねばともろもろ調整の上、夜の池袋へ向かったわけだが、そうでもしないと最近なかなか映画館で映画を見る機会ないよね。一体いつぶりであろうか。

映像と音声の処理の甘さはあるものの(失礼!)、全編芝居の稽古場のみで撮り切ったとことか、劇中劇の構成とか、ぽんぽん飛ばして適度に謎を謎のままに残しつつ想像掻き立てるとことか、最後はほっこり。良き哉。
少なくとも劇中で劇的な出来事は1ミリも起こらないけど、でも実際そういうもんよね。日常とはかくあるべし。
(あ、でもビンタシーンはあったか)

The post 退屈なかもめたち first appeared on カフェ・サウェリガディン.]]>
https://www.cafesawerigading.com/kamome/feed/ 0