そして冬休みも終わってしまった

W杯が閉幕して三日、私の旅行も終わり、そしてたのしい冬休みも終わった。 翌日からさっそく働いておる。 良くも悪くも、半径数百メートルの地味ーーな日々が再び始まる。 ま、それはそれで嫌いじゃないんだけどさ、早くも年末の休暇が待ち遠しいぞ。 それはともあれ、この冬休みの旅行で訪れた街を挙げてみる(6月にW杯で訪れたマナウス、クイアバ、ブラジリアは除く。カッコ内は州名)。 サンパウロ(サンパウロ) São Paulo, São Paulo インダイアツーバ(サンパウロ) Indaiatuba, São Paulo ピンダモニャンガバ(サンパウロ) Pindamonhangaba, São Paulo アパレシーダ(サンパウロ) Aparecida, São Paulo サントアントニオドピニャール(サンパウロ) Santo Antônio do Pinhal, São Paulo カンポスドジョルダン(サンパウロ) Campos do Jordão, São Paulo ポルトアレグレ(リオグランジドスル) Porto Alegre, Rio Grande do Sul グラマード(リオグランジドスル) Gramado, Rio Grande do Sul フロリアノポリス(サンタカタリーナ) Florianópolis, Santa Catarina 考えてみれば、ポルトアレグレでホテルに2泊した以外あとは全部、友人宅および友人の友人宅を泊まり歩いてたな。 この場を借りて、お世話になった皆さまのご厚情に篤く感謝申し上げる次第であります。 Photos:Paisagens da Copa (W杯の風景)  

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2014年7月22日

そしてW杯が終わった

ブラジルでのW杯が終わった 優勝はドイツ、私の予想通りだ。 って、大方の人が同じこと思ってるだろうけど。 が、準決勝でまさかブラジルを7-1なんてとんでもないスコアで破るとは誰も予想できなかったし、逆に決勝ではアルゼンチン相手に延長までもつれ込んでの僅差勝利ということも予想していなかった。 これもまたフットボール。 ドイツは各ポジションに質の高い選手を揃え、隙のないサッカーを展開しましたね。 決勝では少々お疲れの様子だったけど、大会を通して抜群の安定感。文句なしの優勝でしょう。 開催国ブラジル 準決勝、3位決定戦と2戦合計1得点10失点。 ブラジルは終わり方が悪過ぎた。 もちろん結果論ではあるけど、どうにかベスト4まで来てこんな結末を迎えるなら、スペインやイタリアのように、グループリーグでとっとと敗退してたほうがまだ傷は浅かったんじゃないかと思うよ。 最後にきて崩壊しちゃった守備陣もさることながら、 前線のアイデアの乏しいこと乏しいこと。中盤もほぼ皆無。 フェリポンの好みに合わないとはいえ、やはり私はガンソくんが見たかったぞ。 かつてサントスでネイマールと組んでた彼を見たときは、その柔らかな身体性、かのジダンをも彷彿とさせる才能やんと驚いたものだ。 ネイマール これまた結果論だけど、あの屈辱のドイツ戦を欠場したのはネイマールにとってむしろ幸いでした。 もちろんこの22歳の若きエースが、稀に見る才能豊かなアタッカーであることに疑問の余地はない。 しかし彼はまだ、マラドーナやディ・ステファノやペレら、サッカー史上最高クラスのプレーヤーらは言うに及ばず、ロマーリオやリバウドやロナウドやロナウジーニョといった、90年代以降のブラジルのクラッキたちの全盛期の域にも達していないということもまた明らかであろう。 怪我からの早期回復を願う。 MVP これも何なんでしょうね。 もちろん選ばれたメッシに非はないし、「省エネ」と揶揄される運動量の少なさもそれはそれで織り込み済みで戦術として機能してる以上問題ないんだけど、これまでの実績抜きで、あくまで今大会限定で見たとき、どう甘めに見積もっても敢闘賞止まりだろ(って、そんな賞ないけど)。 FIFAの信用にもかかわるんで、そこらへんキチンとしてほしいね。 とまれいくつかの問題はかかえつつ、単純ながら一つのルールにしたがって、世界はこんな素晴らしいものを創り出せるのであるよ。 考えれば考えるほど凄いことではないか。 この一ヶ月、私は存分に楽しんだぞ。もろもろモチベーション切れちゃわないか心配だ(笑)

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2014年7月17日

もうすぐW杯が終わる

ポルトアレグレより 昨日からブラジル南部のポルトアレグレという街にいる。おお涼し。 年中暑いポルトヴェーリョとはえらい違いだ。ブラジルは広い。 開催国でW杯を迎えるのは、2002年の日韓大会に続いて二度目だ。 でも12年前は、サッカーは見るより自分でプレーするほうがよほどの悦楽を感じてたので、わざわざスタジアムに行こうとは思わなかったな。 その意味では、W杯を心置きなく現地で満喫するというのは、今回が初めてだとも言える。 そんな今大会も、あと3位決定戦と決勝を残すのみとなった。 先月ベスト16が出揃った時点で、私は決勝戦をドイツvsオランダもしくはドイツvsアルゼンチンと予測した。 結果は周知のとおりドイツvsアルゼンチンなのだが、オランダvsアルゼンチンの準決勝は延長でも決着つかず、結局PK戦の末アルゼンチンの勝利となった。 PKなんてもちろん多少の駆け引きはあるにせよ(準々決勝オランダvsコスタリカ、PK直前のファンハール采配には驚きましたね)、基本は運である。 したがって、PK戦に突入した時点であとは運次第、どちらも等しく勝利の可能性があると考えてよい。 とすれば、ドイツvsオランダもしくはドイツvsアルゼンチンと、両方の可能性を指摘した私は、どちらか一方のみを挙げていた場合よりもはるかに正確にこの状況を予測していたとも言えるわけなのである!!笑 さて決勝である。 この舞台でドイツとアルゼンチンが激突するのは、1986年メキシコ、90年イタリアに続いて三度目だ。(※当時はドイツではなく西ドイツ) 少し過去の歴史を繙いてみよう。 1986年、メキシコ 86年はそう、当欄でもしつこいくらい登場する、アルゼンチンが生んだ史上最高の天才・マラドーナである! 準々決勝イングランド戦で見せた「神の手」「5人抜き」は、86年の、というよりW杯史上に残る説明不要のハイライト。 このシーンがあまりに有名すぎるために他が地味な印象になっちゃってるけど、 続く準決勝ベルギー戦においても、アルゼンチンの全得点を叩き出したのはディエゴだったのだ。 いずれも彼にしかできない素晴らしいゴールだ。 https://www.youtube.com/watch?v=dIXKJdgZNTY&feature=emb_logo   何が言いたいかというと、アルゼンチンが西ドイツとの決勝を迎えたとき、史上最高の天才ディエゴが、さらにそのキャリアのピークにあったということ。その時点でアルゼンチンの優勝は決まっていたといってよい。 試合はアルゼンチンが2点を先取。 勝利を決定づけたかに見えたが、当時の西ドイツの大エース・ルンメニゲ、そしてフェラーがCKから立て続けにゴールを決め、振り出しに戻す。 が結局勝負を決めたのは、西ドイツのDFの乱れを見逃さないマラドーナの決定的なラストパスであった。ブルチャガが冷静に決めて3-2でアルゼンチン勝利。 かくして86年はマラドーナのための大会となった。 1990年、イタリア 続く90年イタリア。 前シーズン、ナポリで好調を維持し2度目のスクデットを獲得していたマラドーナが、本大会不調に沈む。それでもどうにかこうにかアルゼンチンは決勝まで駒を進めた。 試合は、西ドイツのエース・マテウスがマラドーナを封じ、互いの良さを消し合う稀に見る凡戦。 名サイドバック・ブレーメによる右足のPKが唯一の得点となり、西ドイツは4年前の雪辱を果たす。 つまんないね。 でも勝負に徹したベッケンバウアーは、選手としても監督としてもW杯を獲得した最初の人となった。 2014年、ブラジル そして今回。 ブラジルはこちらがドン引きするほどのアルゼンチン嫌い。 決勝はアルゼンチンにとってはアウェーとなるか。それとも隣国ゆえにアルゼンチンから大量のサポーターが駆け付けてホーム状態を現出させるのか。 いや、それ以前にブラジル人としたら、アルゼンチンを応援することはありえないにせよ、かといって準決勝で愛するセレソン(ブラジル代表)を1-7という歴史的屈辱に陥れたドイツを素直に応援する気にもなれないだろうなあ。 なんか、いろんな状況が混沌としてて、異様な雰囲気での試合になりそうな気がする。 試合自体はすでに予測に掲げているとおり、そして他の大方の予想もそうであるとおり、ドイツの優位は揺るがないだろう。 しかし何が起こるか分からないのがフットボールだ。 実際その瞬間を、今大会だけでも我々は幾度も目にしてきたではないか。 逆に言うと、そんな番狂わせが起こるとしたら、クラブではすでに比類なき栄光を手にしているメッシが、いよいよ代表でもその存在を世界に示すことになる。 まあ、もし本当にそうなったとしても、彼の凄さは充分に認めつつも、我がマラドーナびいきは永遠に変わんないわけなんだけど。(結局いつもそこ・笑) ステファノ讃 最後に。 今大会の期間中にアルフレッド・ディ・ステファノがこの世を去った。 UEFAチャンピオンズカップ5連覇、バロンドールの中のバロンドール(歴代最優秀選手)…。 私が彼のことを知ったのは90年代初頭、エリック・バッティという私が愛読していた英国人記者のコラムによってだ。 手に入る映像は白黒で、断片的で、いずれも彼のプレーを存分に堪能できるほどには残されていない。 それでも彼は私の記憶の中に、ディエゴと並ぶ偉大なるプレーヤーとして刻印されている。 フットボールの歴史を創り上げた先人に心から哀悼の意を表するのである。

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2014年7月11日

We Are One

仕事の合間を縫ってマナウス、クイアバ、ブラジリアでのW杯観戦を終え、無事帰ってきました。 といってもここブラジルで7月は、年末年始と並んで年に二度の長期休暇が取れる時期なんで、明日からさっそく二週間程またぶらぶら旅行出かけるんだけど。 とまれ、移動距離も長いし、日本戦以外は基本一人で行動だし、この間何かしらやばい目には遭うだろとは半分覚悟してたのだけど、幸運にもほぼ無傷でした。 せいぜい、予約の手違いでこの期間中のバカ高いホテル代、1泊分余計に支払わされたくらい。締めて約2万円の損失。ああ悔し。が、友人はレシフェにてナイフで脅されたらしいし、そういうのと比べたらまあこれくらい許容範囲だろ。 にしてもフットボールとはげにすごいのう。 会場のスクリーンでは試合前とかハーフタイム中、今大会の公式ソングがこれまでのゴールシーンや観客の熱狂とともに、繰り返し映し出された。 https://www.youtube.com/watch?v=TGtWWb9emYI&feature=emb_logo   それを見るたびわしは思わずうるっとしてしまったぞ。 かつてベネディクト・アンダーソンは国民国家を想像の共同体であると喝破した。 そして今や世界はフットボールを通して、我々は一つであるという幻想すら垣間見せてくれるのだ。 宗教とかイデオロギーとかではなくして、たかがボール蹴りで人々がここまで熱中できるんだから、それがたとえ空想の産物に過ぎないとしても偉大すぎる発明ではないか。 といっても、サッカー興味ない人にとってはこんなもん理解不能な狂信イデオロギー以外の何物でもないんだろうなあ。 偶然に左右されるスポーツである。 であるがゆえに弱いとこは弱いなりの戦い方があるわけで、それゆえに自分たちでも上に行けるんじゃないかと思えちゃうし、そこに弱小国の人々も熱狂できる余地が生まれる。ほぼ必然しか起こらないスポーツであれば誰もここまで熱狂しない。 実際、スペインやイタリアやイングランドといった強豪と言われる国々はグループリーグで姿を消してしまった。 逆に言えば、ジャイアントキリングも大いに起こりえたわけなんだけど、我らが日本はあっさり敗退した。 こっちのほうは、期待外れであるが予想通りではあった(笑) さて、偶然に支配されるとはいえ、予選突破ならともかく、優勝までするにはさすがにそれだけでは成し遂げられない。 EUROレベルだと、まさかのダークホースが優勝かっさらう例はままあるが(92年のデンマークとか、04年のギリシャとか)、少なくともW杯の舞台においてそのようなことは今のところただの一度も起こっていない。結局は強いと言われた国が順当に勝っている。というわけで予想もどうしてもベタなところに落ち着かざるをえないのだけど、決勝はドイツvsオランダ、もしくはドイツvsアルゼンチンを掲げておきましょう。前者なら74年の、後者なら86年・90年のカードの再現となりますね。 そして、優勝はずばりドイツでしょう。

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2014年6月30日

Copa do Mundoが始まった

がしかし、周りのブラジルの友人や同僚のなかで、試合を生で観に行く、というやつは一人もいない。 私がいちばんはしゃいでる。 こんなもんかなって思ってたんだけど、いざ開幕を迎えると、我が街ポルトヴェーリョも俄然熱気を帯びてきました ブラジル戦のある日は休日指定。 友人宅で観たクロアチアとの開幕戦では、オウンゴールで先制されたにもかかわらず、友人たちは大はしゃぎ。なぜか? 最初に失点したほうが面白い試合が見られるから。どうせ最終的には勝つんだし、というのを頭から信じて疑わない。 強豪国の貫録というか、サポーターも含めた精神的な余裕を見せつけられたよ。 続いて日本対コートジボワールの試合は、ここでは数少ない日本人の移民一世の方のお宅にお邪魔して観戦。 不甲斐ない試合っぷりに声も枯れたわ。 案の定、翌日ブラジルの友人たちには山ほどからかわれた。 返す言葉もございません。前日から日本代表のユニ着てイキリ倒してた自分が恥ずかしいよ(笑) でもま、こういうのも含めて楽しめるのが、唯一無二の祝祭であるワールドカップのいいとこですね。

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2014年6月17日

私的W杯観戦予定

三試合観てきます いよいよワールドカップですね。 これがあるからブラジル行きを希望した、というわけではないのだけど、動機の一つであったことは確かだ。ついでに生で観れるんならラッキー、みたいな。 さすがにブラジルの試合の日は学校も会社も休日になるらしいんだけど、思ったより盛り上がってる感じはしない。 それどころか、工事の遅れとか、開催反対デモとか、治安の悪さとか、ネガティブなニュースばかりが耳に入ってくるよ。 大丈夫なのかねほんと。 かくいう私は、長きにわたるチケット争奪戦の末、下記の三試合を観に行くことになった。 Match18 6月18日(水) カメルーンvsクロアチア(於マナウス) Match37 6月24日(火) 日本vsコロンビア(於クイアバ) Match46 6月26日(木) ポルトガルvsガーナ(於ブラジリア) ブラジルやスペインやイタリアといった人気カードはことごとく外れ。 正確に言うと、日本vsコロンビアも抽選外れちゃったんだけど、申し込んだ試合全てが当たっちゃったという奇跡のラッキーガールSからお裾分けしてもらったのだ。 まあ結果的に、マナウスもクイアバもブラジリアも、みなブラジルの内陸都市で、私が住むアマゾンのド奥地ポルトヴェーリョから比較的近いとこばっかなので、その点はありがたいですな。 当選確定した瞬間に、ホテルやフライトを急いで予約したんだけど、あまりの高さにたまげたよ。 ほんと、普段とケタが一つ違うもの。 しかも、高くてもまだ空きがあればマシな方で、全部埋まっちゃっててどうしようもないケースもあった。 結局クイアバからブラジリアのフライトは確保できず、バスで22時間かけて移動することになったよ。 今ブラジルに住んでて、それなりに迅速に行動したつもりのおれでもこの有様だからね。 国外から観戦に来る土地勘もなく言葉もできない多くの人たち、大丈夫なのかね。他人事ながら心配だわ。開幕してからもいろいろ問題頻発しそう。 治安についていえば、日本vsコロンビアの行われるクイアバの強盗発生率は日本の400倍なんだとか。 さもありなん。 それはここポルトヴェーリョも負けてないぞ。 先週、おれの住んでるアパートに空き巣が入って、隣人の物がいろいろ盗られた。 今年だけですでに二度目。 先日は、知人宅に強盗が押し入って、お父さんが拳銃で撃たれた。 去年の年末には、不可解な大量殺人事件(一説によると20人超?)が起こった(ちょうど旅行中だったので詳しく知らない)。 シャレなっとらんですな。 五体満足で日本帰れる気がしない(笑) お願いだからこんなお祭りくらい心置きなく楽しませておくれ。 おまけ 他媒体に書いた関連記事。 その1「多文化共生を再考する」 その2「周縁からブラジルサッカーを体感する」

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2014年5月20日

Pegao!

懐かしっ!! https://www.youtube.com/watch?v=R7dTwWI5NKc&feature=emb_logo   https://www.youtube.com/watch?v=ymSnmuXMKd4&feature=emb_logo

Music

2014年5月11日

なんちゃって小津月間の件

小津月間(勝手に)到来 小津安二郎の作品は、暇をもてあましてた高校時代に何本か見てしばらくそれきりだった。 10年後、働くようになって某国に出張行ったとき、そんな彼の作品集が驚くほどの破格値で売ってたので、クロサワやジブリや昭和の落語全集(某国地方都市の場末のDVD屋でこんなものまで売ってたのである!)などとともにおトクに一括購入し、久々の再会を果たすことになった。 (もちろん海賊版です。すみません。) 爾来、暇にまかせてちびりちびりと見てはいたのだけど、何となくそういう気分になっちゃって、この4月1日から毎日、仕事が昼からの日は朝起きたらまず小津映画を一本見る、というルーティンを自らに課し過ごしてきたのだった。 (今のお仕事はちょっと変則的で、土日は朝から晩まで忙しいかわりに、平日は午後からなのです。) 至福の三週間であった。 この間私は、ここポルトヴェーリョでもっとも朝の到来を待ち侘びていた男といっても差し支えないであろう(笑) まとめて見ると、このクオリティの作品群をほぼ年一本のペースで量産してきたことが改めてすごいと思うし、そしてこれらの作品をその気になれば毎日でも気軽に見ることができる、というのも考えてみれば幸せなことだよねほんと。 というわけで、またまた誰からも求められてないけど、小津作品、私の勝手にベスト3を発表する次第だ。 遺作となった『秋刀魚の味』、愉快すぎる『お早よう』、中村鴈治郎と京マチ子と若尾文子の競演がシビれる『浮草』など、いずれも捨てがたいのだが、ベスト3という勝手な制約ゆえに涙をのんで選外とせざるをえなかった。残念である。 第3位『秋日和』 オッサンたちと岡田茉莉子とのやりとり、たまりません。爆笑必至。 いちばん笑える小津作品ではないだろうか。 第2位『麦秋』 紀子三部作(『晩春』『麦秋』『東京物語』)の中からは、二作目にあたるこちらをセレクトしてみました。 もちろん他の二つもいいのだけど、父親への愛がファナティックすぎて若干引いちゃう『晩春』、あまりに浄化されすぎてちょっとイデアの世界に迷い込んだかと錯覚しちゃう『東京物語』に対し、『麦秋』はいちばんマイルドながらスタンダード、って感じで何度見ても泣けちゃうんですね。 そしても一つ。何てったって紀子の親友アヤを演じる淡島千景さんである。 本作での淡島千景は、日本映画史上最高の美しさではないだろうか。 高峰秀子、香川京子、有馬稲子、若尾文子、司葉子、新珠三千代、岩下志麻、そしてもちろん原節子と、小津映画にはこれでもかってくらい美人女優が出てくるんだけど、その中でも淡島千景は抜群ですね。単純に好みの問題なんだけど。 第1位『小早川家の秋』 はい1位は文句なくこれです。 淡島千景の圧倒的な美しさも、エロじじい万兵衛のキュートな魅力には敵いませんでした(笑) 作品の最後で笠智衆が、小津安二郎の死生観を表したとも言われる意味深なというか、説教臭いセリフを吐くのだけど、ぶっちゃけそれはどうでもよろしい。 これはひたすら二代目中村鴈二郎演じる小早川万兵衛がお茶目で素敵すぎる映画なのである。 これを見たら、あーおれも万兵衛のような老後を過ごし、万兵衛のような逝き方をしたいなあと思うこと必定なのである。 でも、それを実現するためには、ブラジルも東京も引き払って関西に戻り、商売を興して財を為し、楽隠居の身分になって子や孫にも恵まれねばならない。 道は、あまりに遠い。。。 今回改めて見て気づいたこと。 いくつもの作品でいい味出してる田中春男、中島らもにそっくりじゃないか!!?? 風貌といい独特の関西弁といい、瓜二つやぞ!    ググってみたけどあまり適当な画像見当たらず。左写真の手前が田中春男。で、右の写真が、神戸が生んだ我らが中島らも御大です。ちょい分かりにくいね。 何とも締まらない締めですが、それではまた。   

Movie

2014年4月22日

時代劇、我が愛。その1

前回前々回に続き、これまたごく稀にネットの調子のいいときがあって、動画漁ってたらあまりの懐かしさに思わず悶絶しちゃったという話。勝手にセンチメンタルシリーズw 時代劇、我が愛 今更だけど、私は時代劇が大好きだった。 一週間は月曜の水戸黄門や大岡越前に始まり、火曜以降は里見浩太朗の江戸日記シリーズ、必殺仕事人、鬼平犯科帳、銭形平次等々。で、土曜の締めはもちろん松平健の暴れん坊将軍だ。 それに不定期にある特番(忠臣蔵とかテレ東正月の12時間ものとか)や、往年の再放送を含めると、小学校の頃なんてほぼ毎日何かしらの時代劇を見ていたのではないだろうか。 単純というか何というか、最後に訪れる毎度おなじみのチャンバラシーンに、飽きることなく胸躍らせていたものだ。 家の近くの雑木林から手頃な枝を切って、テープ巻き付けたり細工したりして木剣に仕立て、友達とマジで剣豪気分で斬り合いしてたのは恥ずかしい思い出である(笑) というわけで、膨大な我が記憶の時代劇ライブラリーの中から勝手にベスト3を発表しようと思う。 第3位『遠山の金さん(松方弘樹版)』 まずは金さんでしょ。 まさに時代劇の王道。私これ、あまりにハマり過ぎて小4だか小5だかのクラスの学芸会で、自分で脚本書いて役者集めて劇作った記憶あるよ。もちろん遠山金四郎は自分。で親友が悪役の商人。エセタトゥーして悪役を裁きまくるという傍迷惑かつ自己満足極まりない企画である(笑) 親の世代だと片岡千恵蔵とか杉良太郎とかいろいろあるらしいんだけど、私の世代では松方弘樹なのである。エンディングテーマも渋い! https://www.youtube.com/watch?v=yu29ree0weU&feature=emb_logo   第2位『翔んでる!平賀源内』 Wikipedia見たらたった20回だったんだな。水戸黄門や大岡越前にはさまれて、わずかな期間月曜のTBS8時枠にて放送。一般的な知名度もあまりないであろう。 でも私、これ大好きでした。西田敏行の飄々とした感じ。いかにも勧善懲悪って感じの他の時代劇とは異なるユニークな試みだったんじゃないでしょうか。今は亡き松山英太郎とか、懐かしすぎる。 これまた音楽も良かった。動画探してもなかったけど。西田敏行が「笑って生きるも人生~、泣いても人生さ~、それなら愉快に暮らそう、楽しい夢を見て~♪」と唄うのだ確か。 どっかにないでしょうか。 栄えある第1位『三匹が斬る!』 これはもう文句なしなのである。ていうか、ここまでのうだうだはこれを紹介したかったがための前フリと言ってもいい。 殿様(高橋英樹)、千石(役所広司)、たこ(春風亭小朝)の主人公三人が好き勝手に旅しながらも、行く先々で問題を解決しちゃうという話。三人三様の魅力溢れるキャラ設定。まさに一度で三粒美味しい史上最高の時代劇なのである! いまや映画スターとしての地位を確固たるものとした役所広司も、私にとっては役所広司といえば永遠に千石だ。千石、カッコ良すぎるぞ。 いまや落語界の重鎮である春風亭小朝師匠も、私にとっては永遠のたこなのである。 (あ、でも高橋英樹は、いまや殿様というより高橋真麻のパパ、というイメージに変わっちゃったけど・笑) 小林亜星によるオープニングテーマも劇中テーマもエンディングテーマも素晴らしすぎる。エピローグでの芥川隆行の名調子ナレーションもハマりすぎ。そしてそれを超絶見事にまとめた神動画があったのでここに紹介する。UP主は神である。 三匹が斬るOPてつをED 当時はこのエンディングテーマがかかるたびに、ああもうこの至福の時間が終わってしまうのか、と子供心にとても寂しかったことを覚えている。 ついでに見つけたこの動画も。 「三匹が斬る」のOPとEDをベースで弾いてみた この選曲センス、たまらん。腹抱えてわろた。 あ、あと全然関係ないけど小林亜星といえば、わくわく動物ランドも忘れ難いですね。 https://www.youtube.com/watch?v=jF1WTR7M6hg&feature=emb_logo それではまた。

Movie

2014年4月17日

FACCIA DI CANE

前回に続き、最近おもひでぽろぽろ状態である。 今回見つけたのはこれだ!! FACCIA DI CANE https://www.youtube.com/watch?v=dHsBuIP6lZ0&feature=emb_logo   そう、WOWOWスーパーサッカーのエンディングテーマだったのである。 当時我が下宿には衛星放送なんてないので、週末部活終わりによく友人宅で見てたものだ。 この曲に合わせて、その週のセリエAのゴールシーンがダイジェストで映し出されるのだ。 毎度、スーパーなゴールの数々に心躍らせたね。 それらの映像とこの曲があまりにハマりすぎてたことに敬意を表し、普段レンタルで済ませてたCD、このときばかりは身銭切って買った記憶あるぞ。そうそうこのジャケットよ。意味も分からんままに、必死で歌詞をノートに書き写したものだ。 今や本田のいるミランも長友のいるインテルも、一昔前からは考えられないほど凋落しちゃってるが、私が中学高校の頃、ワールドサッカーの最高峰といえば、スペインのリーガでもイングランドのプレミアでもなく、イタリアのセリエAだったのである。 セリエAでは、1980年に長年制限されていた外国人プレーヤーの参入が復活。 82年には八百長による謹慎処分明けのパオロ・ロッシを擁し、イタリアはW杯を制した。 80年代前半、何と3年連続でセリエA得点王&バロンドールを獲得したユーベのプラティニ(現UEFA会長)。 次いで南部の弱小クラブ・ナポリに2度のスクデット(87年・90年)をもたらし史上最高の天才マラドーナ。 我らがブラジルのジーコやファルカン、カレカらの活躍も忘れてはなりませんね。 80年代末から90年代初頭にかけては、オランダトリオ(グーリット、ファン・バステン、ライカールト)のミラン、そしてドイツトリオ(マテウス、ブレーメ、クリンスマン)のインテルがリーグを席巻した。 私がこの番組を見ていたのは、こうした時代を経て、90年代の前半から半ばにかけてだ。 そりゃプラティニやマラドーナ、ファン・バステンら突出したスターに比べれば個々のスケールが小粒になった感は否めないものの、その分多くの個性的で魅惑的なプレーヤーが輝きを放ち、セリエAはまさに百花繚乱の時代を迎えていたのだ。 ファンタジスタの代名詞とも言えるR.バッジョを筆頭に、サヴィチェヴィッチ、ヴィアリ、シニョーリ、ゾラ、マンチーニ、そして怪物グーリットもまだまだ健在。この曲を聞くと、当時の興奮がありありと再現されるのであるよ。今は亡きジャンルカ・トト・富樫こと富樫洋一氏とか、懐かしすぎる。 と、引き続きネットでだらだらしてたら、こんな記事を発見。 【セリエA エンディング曲】 FACCIA DI CANE を聴いてみた! いやー、同じ体験を共有し、同じこと思ってる人っているんだねーやっぱり。

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2014年3月31日

Everybody Wants To Rule The World

中高時代、広島で下宿生活を送っていた。 何度か下宿先を変わったのだが、自室にテレビ設置OKのところもあれば、共用スペースのみでしか見られないところもあった。そんなとき、好みの合わない先輩がそのスペースを占拠なんかしてたりすると、私はもう一人で部屋に閉じ籠もるしかない。 おかげで本や漫画をひたすら読み耽るという現在も続く根暗な趣味、というか暇つぶしを得たのは今にして思えば幸運だったのか不運だったのか。給料大して高くなくて時間もないくせに、ちょっとでも面白そうな本を見れば買い漁らずにはおれず、結局部屋のスペースがないほどに積読の山が増えていって金欠だけは変わらず、というのは悪癖というか、むしろ不運な出合いだったともいえるのではないか(笑) そんなどうでもいい前フリはさておき、当時テレビが自由にならない私にとって、本や漫画と並んで限りない刺激と悦楽を与えてくれたのがラジオだったのだ。 ベタに「オールナイトニッポン」とか初期の「ミリオンナイツ」とか夜更かししながら毎日のように聞いてた記憶あるよ。 これら全国区の番組とは別に、当時広島ローカルで毎日やってたのが「びしびしばしばしらんらんラジオ」(通称びしばし)。 今となってはパーソナリティの一文字弥太郎さんや、ゲストの方々のノリのいいボイスの雰囲気くらいしか記憶になくて、内容は何も覚えてないくらいだから、さぞかし他愛もない番組(笑) でも、たとえ暇つぶしであったとしてもほぼ毎日日課のごとく聞いてたわけだから、多分それなりに楽しんでたのだ。うん、その安らかな感触も朧げながらまだ残ってる。 なんで久々にこの番組のことを思い出したかというと、この番組には地元の女子大生の皆さんが曜日毎にレギュラー出演してたのだけど、数年前その一人とひょんなことで仕事で知り合ったからなのだ。 今は東京を拠点にいろいろアクティブに活動してるおもろい人なんだけど、お互い広島に縁があるってことで何気なく話を進めていると、同じ時期に広島いたんだねってことになって、びしばしってラジオがあったねってことになって「びしばし聞いてた(おれ)」「びしばし出てた(その人)」「ええーーー!!(双方)」ってな展開になったわけ。柄にもなく、いろんなところで思いがけない縁がつながっとるのーと思っちゃったわけよ。 で、なんで今更こんなネタかというと、現在の不安定なネット環境の中、何の加減かごくたまーに動画漁りができるくらい調子いいときがあって、偶然この音楽に再会したからなのだった。 https://www.youtube.com/watch?v=aGCdLKXNF3w&feature=emb_logo Tears For Fears, Everybody Wants To Rule The World 当時ネットもないし、ラジオから良さげな音楽が流れてきたらテープやMD(これも懐かしいな)にせっせと録音するという涙ぐましい作業を続けてたのだけど、この曲、というよりたまたまこの曲が収録されたテープにはお気に入りの曲が詰まってて、擦り切れるほどに聞いてたよな、と。で、おそらく15年ぶりくらいに聞いたこの曲で、見事に中高時代のあの一人部屋とラジオの記憶が呼び覚まされた、というわけなのだよ。 十代で鬱屈とした頃もあって、あの時代に戻りたい、なんて別に思わないけど、それはそれでいろいろ楽しいこともあったもんやのう、という両義的な思いが交錯する。

DiaryMusic

2014年3月18日

震災のこと

3年経ちましたね。 FBのタイムラインとかニュースサイトとか、あの震災に関する投稿や記事が続々と流れてくる。 震災後、職場の中で被災地支援のためのプログラムが組まれ、形ばかりのリーダーとなった。 被災地に何度も足を運んだ。助成金という名目でお金を届けるという仕事の性質上、現地の方々から感謝の言葉をかけていただく機会もよくあった。 そんなとき、多少なりともお役に立ててこちらこそありがたいなあと思う一方、おこがましいというか何というか、ちょっと気まずいような、決まってそんな何とも言えない気分にもなったものだった。 そもそもそれらの金は自分の金じゃないので、端的に言えばそれは私への感謝ではない。私の背後にある某巨大スポンサーへの感謝である。当たり前だけど。 もちろんお金を受け取る側からすれば、直接の担当者である私に謝意を伝えるのは自然なことかもしれないのだけど、私が個人として直接被災地や被災者の方々のお役に立つようなことをしたわけでもないわけで、どこかうしろめたいような、そんな気分になってしまうのですね。自意識過剰か。 その頃被災地に駆け付けた善意と情熱に支えられた多くのボランティアの方々と異なり、 私はあくまで組織人として、仕事として支援に携わっていた。理由は、職場でその担当を命じられたから。それ以上でもそれ以下でもない。当然所定のお給料を貰いながら。もちろんやるからにはそれなりに使命感もってやってたとは思うけど、間違っても他人様から感謝されるような、そんな偉そうな存在ではないのだ。 現にその担当から外れた現在、こうしてブラジルでぷらぷらお気楽な生活してるわけだしね。 当時も今も、文字通り一番考えさせられるのはこの記事だ。(いろんなとこで何度も引用してるけど) 『考えさせられる。』 何をすりゃいいんでしょうね。 もちろんやたらシニカルに構えるつもりはないのだけど、かといって必要以上に大仰に構えてもしゃーない。自分にできることを淡々と、ですね。

Diary

2014年3月12日

雨季の暇つぶし

マデイラ川氾濫 雨季真っ只中である。20年ぶりというマデイラ川の氾濫が大変なことになってる。 https://www.youtube.com/watch?v=EgGjXOrsJnw&feature=emb_logo なので外でサッカーなんて天気の良いピンポイントな時間じゃないとできないし(ブラジルなのにサンパウロやリオと比べこの街でいまいちサッカーが盛り上がらないのは、この「雨季がある」ってことと無関係じゃないんだろね)、セントロ(中心部)まで買い物行こうと思わないし(結構距離あるから、わざわざ友達に車出してもらわないと行けない)、相変わらずネット不安定だし、テレビも映り悪いから全然見なくなったし。 結局暇な時間はひたすら家に籠って、先月リベルダーヂでしこたま購入したDVD見たり、日本から送った本や漫画を読んだりしてる。他に選択肢がないからとはいえ、それはそれで至福の時間だ。この先も、これだけして生きて行けるならそれもありだなと思っちゃうよ。 ここ最近で見たり読んだりしたものの中から、印象に残ったものをご紹介。備忘録代わり。まあ、他に何もしてないからネタがないだけってことなんだけど。 『桐島、部活やめるってよ』(2012年) 小説(2010年)のほうは既読だったんだけど、映画は未見であった。 小説では登場人物ごとの視点で章割りがなされてるのを、うまく映像に落とし込んでたと思う。 すでにいろんなレビューでも語り尽くされてるけど、クラスの成員が上から下まで階層化されてて、それぞれが全く異なるレイヤーを生きてるというあの感じ。んで、ふとしたきっかけで異レイヤー同士が交じっちゃったらたいていロクなことが起こらないという。いろいろ思い出すこともあって、リアリティあるなあ。 女子生徒の子たちが、マドンナ役も含めてみんな特別美人というわけじゃないというのも良かった。ほんと普通に高校いそうな感じ。配役に関して唯一言うなら、近ごろ杏ちゃんと噂になっているという東出昌大くんであろうか。ちょっと年齢的に無理があるというか、さすがにこんな高校生おらんやろ、と笑ってしまったよ。 『八日目の蝉』(2011年) こちらも小説(2007年)は読んでたんだけどね。この辺、時期的にバタバタしてて見てない映画多いね。 これも名作やわ。ええわ。 何がええって、永作博美さんの演技に心打たれましたね。 お子さんをお持ちのお母さん方は、森口瑤子さんのほうに涙するんでしょうね。 『乱』(1985年) あの黒澤明をして、自らのライフワークと言わしめた大作。 前作に当たる『影武者』のほうは、テンションの高さがちょい空回り気味の感があったのだけど、こちらのほうはさすがに見応えありました。シェークスピア『リア王』を下敷きにした戦国絵巻。 でも後半、秀虎(中代達矢)が狂阿弥(ピーター)とともに荒野をさまようのだけど、あんな状況で気が狂っちゃった秀虎の下の世話はどうしてたのかなとか、さぞかし異臭放ってたんだろうなとか、何日もさまよってた割には秀虎の純白衣装やたらキレイなままだよなとか、そんなところでケチをつけてしまうのはただのひねくれであろうか。リアリティには徹底的なこだわりを見せた黒澤監督、であるからこそついそこまでのレベルを求めてしまうのであるよ。 『ガダラの豚 1~3』(1993年) あーおもしろ。 中島らもさんって、ほんとサービス精神旺盛な人ですね。 『風の谷のナウシカ 1~7』(1982~1994年) 改めてこれは凄いな。 既読であったのだけど、もう20年前のことなんで、もう一度読もうと思って持ってきてたのだ。 さすが10年以上にわたって描き継がれてきただけのことはある。 その思想の賛否はさておき、よくもこれだけの世界を創りあげたもんだわ。そりゃ2時間尺の映画では描き切れんよね。この漫画版のナウシカが、彼の作ったどのアニメ作品をも凌ぐ代表作と言えるのではないだろうか。人物造型がちょっと紋切り型なきらいはあるのだけど、ところどころにそこから脱線する部分もあって、大いに楽しめたのでした。 それではまた。

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2014年2月27日

Feira Cultural

2014年2月15日、Feira Cultural(文化祭)。 みんな、いい顔してるね! Photos:Feira Cultural 来週以降こそは、ついにプロバイダの契約変えられるかもしれなくて、ネットの調子が劇的に良くなるかも、という期待だけは膨らませておく。

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2014年2月17日

『東京ラブストーリー』ふたたび

見てしまったよ。 パタゴニア道中、同行のしもみーからお勧めのドラマを聞かれたので間髪入れず「東京ラブストーリー!」と答えた。 彼は見たことなかったらしく、さっそくiPadに全話ダウンロードして見始めた。 隣でそんなことされると、こちらもまた見ずにはおられないではないか。その後拝借して、サンパウロへの帰路で全部見てしまった。一体何度目であったことだろう。 かつて私が人生で初めて最初から最後まで見通した連ドラであり、この分野において未だ本作を超える作品に出合っていない。 ま、冷静に見ると、どこが魅力なのかよく分かんない田舎出の冴えない青年カンチと、そんな彼をこれでもかというくらい執拗に追い回す非モテコミット全開の痛い女リカのお話で、演出的にもんなアホなって部分は多々あるのだが(最終回冒頭、リカの三たび振り返りながらの登場シーンとか)、それでもこのドラマの魅力は尽きることがないのであるよ。 何より23年前の鈴木保奈美が輝きすぎて眩しすぎる。 (ついでにこの前年に準主役として出てた『恋のパラダイス』も、はっちゃけててお勧め!一説にはこれがもとで本作の主演も射止めたとか) 10才ちかく歳の違うしもみーにとって、これまで鈴木保奈美は「たまにドラマに出てるキレイな女優さん」そして何より「石橋貴明の嫁さん」という程度の認識しかなかったらしい。初めて彼とのジェネレーションギャップを感じてしまったよ(笑) 最終回の電車内での号泣シーンは何度見ても泣ける。 何て切ないんだ!!と子供心に思ったものだ。 放映当時小学生だった私は、今やカンチやリカの歳などとっくに超えてしまった。 「昔っから光陰矢のごとしなんという言葉がありまして、これはどういう意味かというと、光陰というものは矢のごとしだなあ、という意味だそうですナ」(古今亭志ん朝) 改めて師匠深い!!シェークスピアにだって負けてません。 "O Romeo, Romeo! Wherefore art thou Romeo?……"

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2014年1月30日

センチメンタルな旅・夏の旅

昨年12月半ばから先週末にかけて、「四十日間南米半周」と勝手に銘打った旅から帰還したよ。 やっぱ旅はええのう。 前半は久々の一人旅だったのでセンチメンタルに、後半は友達と合流して夏の南半球を賑やかに回る、というコンセプトだったのでアラーキーに肖った表題のネーミング、我ながら上手いじゃんと思って掲げてたのだけど、ググってみたら何のことはない、すでにみんな使ってるのね。おお恥ずかし。 旅中ずっとカメラ首からぶら下げてたし、一度くらい災難に遭ってもしゃーなしやな、と覚悟していたのだけど、結局拍子抜けするほどスムーズに事が進んでしまった。 事前に想定してたルート、ほぼつつがなく回れたし。ラッキーだったね。 唯一想定外といえるのが、途中で写真と保存してた外付けハードディスクがぶっ壊れちゃったことね。さすがに焦ったけど、これもサンパウロで修理してもらって無事直りました。 で、この四十日で新たに溜まった写真、約10000枚。 一日250枚ってところか。そう考えると大した量じゃないな。丸一日バス移動のみって日とか、ひたすら眠りこけてた日もあったから、まあこんなもんか。 移動に金かけた分、泊まりは安宿が多かったんだけど、それでもここポルトヴェーリョの我が家よりたいてい遥かにネット環境は良くて(笑)、嬉しくなって珍しくFBにこまめに写真アップしちゃったよ。 旅の全体像は、随時追加していく形で『センチメンタルな旅・夏の旅』にまとめた。 一つのテーマで枚数が多くなりそうなものに関しては、サブアルバムを作成することとし、それぞれ『CURITIBA NOBODY』『Museu Oscar Niemeyer』『Iguaçu!』『Patagonia!』にまとめた。 荷物の容量の都合上、一眼レフもストロボも持って行けなかったのが残念。次回以降の課題としよう。 中学から家を出て一人暮らしをする、と親に宣言した小学生の頃から変わらず、こうしてプラプラプラプラしてるボヘミアンな生活が性に合ってるんだと改めて思った。 行きたいとこ行って写真撮って映像撮って、移動の合間に映画観て小説読んで漫画読む。このような極楽生活をこれからもできたらたまらんね。 何か今流行りのノマドみたいなこと言ってるな。それとはまたちょっと違うような気もするんだがね。その違いが何なのか、正解を私は分かっていると思う。でも多分それはとても身も蓋もない話だ。 俗物の塊である私に果たしてそれはできるのか。

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2014年1月27日

旅行に持ってく本10選

というわけで明日から旅行で、これから荷造りするところだ。 ちゃんと前日にしようとするところが成長の証。笑 予備用のちっちゃいPCとUSBにかつて自炊した本1000冊分くらいデータ入ってるんで、活字に飢える、ということはまずないのだけど、それでも旧世代の私、旅中どうしても紙の本が恋しくなることもあるかもしれない。いや、きっとあるでしょう。 というわけで、日本から大量に送った蔵書の中から、かさばらずリュックに何とか入りそうな文庫を中心に、旅行のお伴に持ってく本を10冊選んでみた。(結局選び切れずに13冊になっちゃったけど) だから何、って感じなんだけど、一応記録に残しとこうかね。 『吉里吉里人 上・中・下』(井上ひさし)    一つくらいこってり長編を読もうかと。同じく三冊組の『死霊』(埴谷雄高)と迷ったけど、バス中とか飛行機中で、明らかにこっちのが読みやすそうだったから。 『卍』(谷崎潤一郎) 関西弁が恋しくなったときのために。てか、裏表紙見たらシンガポールの紀伊国屋の値札が貼られてる。めちゃ割高。かの地に住んでた10年前もそんだけ恋しかったんだなあ。 『ねじ式』(つげ義春) マンガも一冊。 『夜想曲集』(カズオ・イシグロ) 短編集も一冊。細切れな時間にちょうどよいよね。 『何でも見てやろう』(小田実) 紀行本その1。30代になって、かつ旅の途上で20年ぶりに再読したとき、果たしてどのような感興を催すのであろうか。 『マレー蘭印紀行』(金子光晴) 紀行本その2。南米の旅で、久しぶりに東南アジアに浸るというのもなかなか乙かなと。 『悲しき熱帯 Ⅰ・Ⅱ』(クロード・レヴィ=ストロース)   紀行本(と言えるのか??)その3。文庫サイズではないけど、やはりこれは外せません。 <番外編> 上記で10冊なのですが、結局絞り切れずに持ってくことにしました。 『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』(カート・ヴォネガット・ジュニア) 癒しでしょ癒し。 『伝奇集』(ホルヘ・ルイス・ボルヘス) 久しぶりにアルゼンチン行くし、そこは敬意を表さねばなりません。 『賭博者』(フョードル・ドストエフスキー) アルゼンチンにもチリにもカジノあるし。寄る機会あるかなあ。昨年マカオ以来の勝利目指すぜ! では皆さん、ちと早いですがよいお年を。

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2013年12月13日

四十日間南米半周

ここブラジルでは、だいたい12月と1月の2ヵ月が夏休みとなる。 一応宮仕えの身、さすがに私自身が丸々2ヵ月休むなんてことはできそうにないが、6週間程なら何とかなっちゃう感じなのである。 そもそもここはサラリーマンでも1ヵ月の休みを取ることが普通、ってか義務(ほんまか?でも確かに僕のお世話になってるマリーザさんが言ってました)というようなお国柄。 それに倣って休むときはがっつり休む、というのもまたフィールドワーカーとして大切な心得でありましょう。 というわけで行ってまいります南米紀行。あー嬉し。 途中友人とも合流するのだが、せっかく今ポルトヴェーリョというマニアックな場所にいるので、前半は一人で、この地の利を活かしたルートを回ろうと考えた。 まずは14日、ポルトヴェーリョから飛行機で1時間半ほど南下し、クイアバというマットグロッソ州の州都に向かいます。(あ、そういえばここで来年W杯、日本対コロンビア戦が行われますね。ほんま近いんで、せめてここだけでもチケット当てたい…) そこからはそう、パンタナウボニートイグアスというブラジルが世界に誇る自然景観群を一捲りなのである!! といっても、パンタナウだけで日本の本州くらいの大きさあるらしいからね。一体どこ行きゃいいのって感じなんだけど、まあここはミーハー根性丸出しで雰囲気味わえればとりあえずよいかなと。 ちなみにクイアバ以降の移動は基本バスの予定。ブラジルの広さを体感しよう。 イグアスから友人4名と合流、ブラジル側・アルゼンチン側双方のイグアスを堪能した後、12月30日、ともに一路サンパウロへ。 翌大晦日はそう、お待ちかねのサンパウロマラソンである! たかが15kmの軟弱マラソンなのだが、この数ヵ月、我がアマゾンダイエットの大きなモチベーションであり続けてくれた。この落とし前、どうつけてくれようぞ。 さくっと完走して2013年有終の美を飾りたいと思っている。 んで、年越しはサントスにて花火と相成った。 次いで2014年元旦、7年ぶり2度目のアルゼンチンへ。 今回はブエノス滞在もそこそこに、南米大陸横断。 アコンカグアを横目に、メンドーサを経てチリはサンティアゴ到着。 しばし南下し、プエルトモンへ。 ここからは今回旅のハイライトの一つでもあるフェリーに乗船。 船から眺めるパタゴニアの氷河はいかばかりであろうか。 三日間の航海を経てプエルトナタレスで下船。 再びアルゼンチンに戻って、エルカラファテからサンパウロへ帰還。 本当はこんな計画なんかも立てず、出たとこ勝負で気ままに行けたらベストなのだけど、諸事情ありましてそういうわけにもいかず。 でもこうしていろいろ調べてると、楽しくって止まりませんね。 ※ おおよその想定ルート。

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2013年12月11日

アマゾンダイエット

ブラジルに行ったら真面目な、そして人生何度目かのダイエットしようと思ってた。 でも最初に数週間滞在したサンパウロでは、いろいろ美味いもんとか誘惑ありすぎて結局好きなだけ飲み食いしてしまった。 なので、まともにダイエット始めたのはここポルトヴェーリョに移ってもろもろ生活が落ち着き出した8月以降、ということになる。当時体重83kg。 で、今日体重計ったらついに70kgを切って60kg台に突入。 4ヵ月で14kg。すなわち1ヵ月で3.5kg、1週間で1kg弱。 まずまずの成果ではなかろうか。 我がダイエットの理論的バックボーンは以下の二つだ。 『いつまでもデブと思うなよ』 以前も当欄で紹介した記憶があるが、これは良いよ。 生来不精な私、レコーディング(飲み食いしたものの詳細な記録)まではしてないんだけど、考え方とか大いに参考になる。 たまたま見つけたブログ こちらです。 この筆者のダイエット関連記事拾い読みしてくととても興味深いよ。最近個人的に関心を持ってる進化生物学的な知見も乙。どこまでホンマか知らんけど。 炭水化物ダイエットには賛否両論あるみたいだけど、個人的な実感にはとてもよく合致する。 ただ、私はこの筆者のように徹底的な炭水化物・糖質制限はできなくて、インスタントのラーメンやパスタは毎日のように食べちゃうし、ビールや酒もたまには飲まずにはおられないので、それほどドラスティックな変化を経験したわけではない。 まあそれでも、理論押さえて意識的に控えるようにするだけでも充分に効果はあるのだ。 ついでに上記二つ加え、他に効果を及ぼしたであろう項目としては、、、 一日とて途切れることのないこの熱帯の暑さ、そして(適度な?)仕事のストレス(笑) (※ 意外と仕事真面目にやってて、それなりに大変なこともあるんすよ私) うむ。これらを総称してアマゾンダイエットと命名することにしよう。 昔サッカー真面目にやってた頃のベストは62kgくらいだった。 でも、これだとちょっと痩せ過ぎで貧相な感じに見えちゃうし、歳相応に適度な貫禄も欲しいなってことで、今だと65kgくらいがちょうどいいんじゃないかなと思っている。 あと4kgか。 まあ、楽勝でしょう。 ていうか、何でこのネタって毎度嬉しげに自慢せずにはおれないのかね(笑) 我ながらその点については数年前から全く進歩しとらんな。

Diary

2013年12月5日

<写経シリーズ7> 彼らの時代は

「ああもう阿呆くさなるわ。電話かけても出えへんし、LINE既読になってるのに返信ないし。今日だってたまたまここで会わへんかったらそのまま音沙汰なしやったやろ。この二ヵ月ほんま苦しかってん。正直に言うわ、合コンは行った。一人とはチュウまでした。それはしゃあないやろ。だってそっちが連絡くれへんかってんもん。でもあかんわ。どうしてもお前がええわって思ってまうねん」 この人、何か一生懸命だなあとアズサは思った。あの日の一度きりのことがそんなに忘れられないのだろうか。酔ってたとはいえ、大したサービスをした覚えはないぞ。そんな相性良かったっけ。 「ごめんね、連絡できなくって」 「いや、あれからいろいろ考えてん。おれなりのケジメっていうかな。彼女とはもう何もしてないで。ほんでこの前正直に言ってん。他に好きな子ができたって。間違いなく運命やからって。ほんじゃあ散々言われたわ。馬鹿じゃないの、遊ばれてるだけに決まってるじゃん、とか。でもおれはそうは思わんねん。ちゃうか?」 「うん。そうだね」 「どっちの意味やねんなそれ!」 カオルはちょっと作り物なんじゃないかっていうくらい大仰に苦い顔をしている。君は歌舞伎役者か、アズサは心の中で突っ込み返す。でも思ったより面白い人かもしれないな。 「とにかくよ、おれはもう彼女とは別れた。フリーや」 「どうして別れちゃったの?」 「どうして!?」カオルのしかめっ面度がさらに増す。「ほんまええ加減にしいや自分。初めて会ったときから何回も言ってるやん。おれはお前に一目惚れしたんやて。いろいろムカツくことされても、っていうか何もされてないことがムカツくねんけど、それでもやっぱお前と付き合いたいと思うし、お前とやったらおれ、絶対上手くやってけると思うねんな」 こういうふうに何の衒いもなく、やたら自分を押し出してくる人ってたまにいる。彼のそういうところは素直にすごいなと感心した。 でも、こういう話を道端で立ったまま聞くと、彼の向かってくるエネルギーでアズサは思わず後ろに倒れそうになって、それでとりあえず駅に向かってまた歩き始めた。

Book

2013年11月30日

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