鹿の国

『鹿の国』を見てきた。毎度のポレポレ東中野である。

プロデューサーは十年以上前、前職時代にちょこっと関わりのあった北村皆雄さんだ。
長らく「映像民俗学」を標榜し、この分野を牽引してきた。もうすぐご自身の新作も公開されるようで、変わらず意気軒昂である。

監督は、彼が率いるヴィジュアル・フォークロアの弘理子さんだ。

直接の面識はないが、武道を通じて何かと共通の知人も多い三好妙心先生も移住者としてがっつり出演されているではないか。

親しくさせていただいているささらプロダクション・小倉さんの『諏訪式。』、由井さんの『ものがたりをめぐる物語』、そして本作と、ここのところ諏訪づいている。

思わず見入ってしまった。
なかでも600年前の神事の再現が興味深い。
電気もない薄暗い穴倉の中であのようなイベントが本当に行われていたとは、想像するだけで楽しいではないか。

同時に、改めてこれらの営みが多くの動物たちの供犠の上に成り立っているものであることよ。
もちろん食うために屠るのは致し方ないから良くてそれ以外は無駄死にだから良くない、という単純な話ではない。祈る、食う、生きるは一つに繋がっているものであるからして。
簡単に分けて考えられるものではなかろう。
矛盾を抱えた存在として、自分もいまだに葛藤がある。

で、鹿食免。かの人びとは何と明快かつ直截な方便を編み出したものであろうか(笑)
生命を奪うことに畏れを抱くのも人間ならば、それに赦しを求めずにはいられないのもまた人間よなあ、と。業の深さを感じずにはいられない。

そういえば最近こんなニュースも見た。

ウォンバットを抱えて走る米インフルエンサーの動画拡散

アホかと。
いろいろ事情があるのか知らんが、目の前で我が子が突然強奪されて連れ去られた瞬間の、親の感情たるやいかばかりか。想像するに余りある。
無神経にもほどがあろう。

そしてこんなニュースも。

博多区でホテルから4歳男児転落か…

こんな痛ましいことがあろうか。言葉がない。

人の親になり、そして人生あからさまに後半に差し掛かって、
落ち着くどころか日々心が掻き乱され続けている。

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えんたく(Entak)

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