吹奏楽部

土曜日。最寄駅と直結するモールへ買い物に行く。
ちょうど屋外のオープンスペースで近隣の某中学校吹奏楽部によるミニコンサートが行われていた。

仕事柄、ホールで入念に作り込まれたオーケストラを聞く機会はよくあって、それはそれでプロの作品として素晴らしいものだ。

が、この日のそれは、プロとはまた別の抗い難い魅力があって、思わず30分間見入ってしまったのだった。
雨上がりの屋外。水たまりはまだあるわ、演奏中に強風で楽譜吹っ飛ばされるわ、コンディションとしては最悪である。プロではそもそもあり得ないシチュエーションであろう。が、彼ら彼女らはそれも込みで楽しんでいるようだった。

メンバーの中には幼少の頃より音楽の英才教育を受けてきた子もいるかもしれないし、中学に入ってから楽器を始めた子もいるだろう。1年生から3年生まで、レベルも経験もばらばらに違いない。
共通しているのは、その舞台に出ている人たちは皆中学生、すなわち一人の例外もなく、この世に生まれ落ちてわずか十数年しか経っていないということ!

考えてみればスゴいことだ。私の感覚だと、十年前なんてブラジルでプラプラしてた頃で、ほんの一昔前のことだ。そしてその十年前も今も、私は変わらずおっさんというステータスのままだ。
そんな頃に揃って赤ちゃんとしてこの世にデビューしたばかりの人たちが、わずか十数年経つとこんな圧巻のサウンドを生み出せてしまうのか!その事実に驚愕する。スゴいな人間。

いきなり全く別の堅苦しい視点から言うと。
私は現在、都内某区における「中学校部活動地域展開等推進協議会」なる大仰な名前の会議に委員として関わっている。要は、中学校の部活が担っていた役割を、これからは地域での活動に無理なくスムーズに移行していこう、というのがざっくりとした主旨である。

が、何だかんだで中学校という公教育の枠組みの中で、こんな音楽教育と実践の機会を提供できてること、そして全ての当該年齢の子供たち等しく誰にでもその門戸は開かれているということ、改めて素晴らしい仕組みだな、部活。

もちろん、これまで顧問の先生とか、放課後も休日も部活のせいで過度な負担を強いられていることは大きな問題として横たわっていて、喫緊に改善するべきところなのだが、なまじ出来過ぎな感の部活の枠組みとどう折り合いをつけていけるのか。上手い着地点があるものだろうか。
図らずも委員として当事者となってしまった今、考え込んでしまう。

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えんたく(Entak)

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